介護離職が問題に
2017/10/17
高齢化社会が進む日本
日本人の平均寿命は2016年で女性87.14歳、男性80.98歳と香港に次いで世界2位の長寿国になっています。それと同時に日本は少子化が進み、日本人の平均年齢は46.35歳と世界で1番高いです。そのため、高齢者や病気の人を介護するために仕事を離職する人や休職する人が増えています。2025年には、第一次ベビーブームといわれていた団塊の世代の方々が75歳以上になるため、さらに高齢化が進みますます介護問題が深刻になります。
介護する人の年齢
2025年に団塊の世代が75歳になる時の介護の担い手として想定される、団塊ジュニア世代の方々の年齢はだいたい50代前半になります。50代前半の人材は、企業内では責任ある立場の年齢層で、社会的にみても生産性の高い労働者層です。そのため、この世代の人材が介護のために離職や休職をした場合、日本の経済にも大きな損失となります。平成24年に総務省が行った「就業構造基本調査」では、介護に関する正社員の状況をみると、加齢と共に介護をする人が増えています。多くの場合は、介護にあたる要介護者が親となり、高齢になると同時に介護にあたる子の世代も同時に年齢を重ねるので統計の結果は当然のことかも知れません。また、介護する人の性別や年齢は、30歳未満では女性が54.1%で男性よりも多いですが、30代以降になると男性の割合の方がどの年代においても多くなります。「就業構造基本調査」から、女性は結婚や育児等の理由で正社員から離職し非正規社員へ転職するため、30代以降に介護に直面する正社員の割合は男性の方が多いことが考えられます。
地域包括ケアシステムの構築
いま日本では、高齢者が重度の要介護状態となっても住み慣れた地域で暮らすことのできる社会を目指し、「地域包括ケアシステム」の構築を国や自治体で行っています。「地域包括ケアシステム」とは、住み慣れた地域で、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供されることですが、実際には自助・共助を前提としており、家族が介護の担い手の1つとなっています。
介護離職ゼロを目指す
政府は、平成28年4月1日国会に提出された「2015年度補正予算案の概要」の中の「一億総活躍社会」において「介護離職ゼロ」を目指し、相談機能の強化・支援体制を充実させるために、介護保険制度や介護休業制度の内容や手続きについての周知拡大を推進しています。しかし、家族が介護する役割が大きく位置づけられている現状の中では、家族の介護をするためにはやはり働き方を考えなければならない現実があります。
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